CN遺伝子日記帳

技術的な問題への解決策を提案するふりとか同人誌の話とか

「料理は八宝菜。でも世界は70億宝菜。だってひとりひとりが大切な宝物なのだから」と言ったいけ好かないミュージシャンをサメだらけの海へ放り込んだ・・・夏

 日付変更とともに殺害された夏の実況見分にあくせくしていると仕事が終わっていた。調書に私見を書くなと少佐に怒られながら、どうしてディックはポリスマンを物語に描きがちなのか考えていると、出前の火鍋も冷めてしまった。夏。それは国民の妹であり、ビッグブラザーである。普遍的白ワンピに身を包んだ美少女の皮膚はしわがれ、今や白骨と化し、罪深く輪廻転生の長蛇の列に並ぶ。横入りは厳禁。そんなんだから解脱できないんだ、次は珪素生物に生まれ変わるぞ。酸素がなくても彼らは生きていけるから、土星の輪っかの遊泳禁止部分でだって遠慮なくクロールをかましやがる。観測衛星・ライフセイバーは筋骨隆々のイオンエンジンを掲げ、救うべきものは救い、そうでないものは救わない、いわば神さまのトリアージを行う権利を有する。MI6の発行する殺しのライセンスは恐らく厚紙の、メイド喫茶のポイントカードみたいなやつだが、こっちはブロックチェーンで署名された16ビットの符号だ。0ビット目はトリアージの権利の有無を示し、1ビット目は犯罪歴の有無を示し、2ビット目は……ああそれ以降はマスクしていいんだと先輩エンジニアが言う。俗に言うリザーブド。論理回路でいえばドントケア。お前の人生みたいなもんだな、と先輩が言うので俺はパワハラとみなし、権利を行使して逮捕に踏み切った。確か逮捕権は14ビット目だ。マスクしたため確認はもう出来ないのだが。失われた1ビットの情報、1ビットを笑うものは1ビットに泣く。さらばさらば、あの夏の1ビット。これが夏の死骸の正体だ。