CN遺伝子日記帳

技術的な問題への解決策を提案するふりとか同人誌の話とか

世界の端で爆弾を編む

 先日クローズドな場所で『永遠の扉』に対する感想を頂いた。かなり熱のこもった内容で、物書き(ただの二次創作をやってる人間が物書きだのとはおこがましいが)の冥利に尽きるのだが、一番うれしいのは物語に対する感覚が共有できたことに尽きる。そのとき、誰が書いたかなどという問題は消え失せ、そのストーリーが、キャラクターが、我々に作用したと認められるのだ。すなわち、作用の源――琴乃宮雪――はまさしく存在するのである。

 これはここ十年来の個人的テーマで、当然、千早本の柱でもある。

 物語の登場人物・キャラクターの特権は、非実在性にある。彼・彼女らは徹頭徹尾、実在しない。触れられることはなく、声を上げることはなく、各個人の認知の内側にまるで雲のようにあやふやに存在している。彼女たちは人間ではなく、情報的存在と言ってよいだろう。

 しかし、情報的存在であるがゆえの利点がある。質量がないゆえに、我々と彼女らとの距離はゼロになりうる。万有引力のゼロ除算が発生しないのだ。

 これは単なる疑似的な科学のアナロジーに過ぎないことは承知しているが、そこに確かな可能性が存在している。遍く時刻と座標において、彼女たちは作用する。ここにあるのは確かな思想だ。社会に対して一発かましてやれるだけの大きな運動体だ。

 だからお前も俺も爆弾を編んでいる。世界の端でだ。それが自室なのか、カフェなのかは知らないけど、大槻ケンヂ風に言うのであれば「この国を言葉で燃やし尽くしてみせよう」か「魚雷一発轟沈させてえ」だ。

 ……なんか締まらなくなっちゃったな。感想頂いて嬉しかったのと、仕事の合間を縫って朋花本を書いたら、なんだかんだ小説書くのって楽しいなという高揚感からはみ出した文字がここに漏れ出したってことで。