CN遺伝子日記帳

技術的な問題への解決策を提案するふりとか同人誌の話とか

読書記(次回同人誌ネタ帳)

「贈与の系譜学」(湯浅博雄)読んだ。

概要

古代以来の「贈与」について、哲学思想を交えながら読み解いていく。

完璧な贈与は成立せず、仮に何かを贈ったとしても、その埋め合わせを期待する「交換」の意図が混じるという困難(作中の言葉を借りればアポリア)が生じる。

ただし、このような汚染が起こることで、贈与の価値が毀損されるのではなく、常にそれが「贈与」か「交換」かという問い直しを受け続けることで、価値が強化されうる。

感想

哲学には明るくないのでカントの話とかは、ネット見つつ自己補完した。文章が外語っぽいのでちょっと読み辛い。ロジックが飛んでるように思えるところもあるが、大意には同意する。

贈与のアポリアは本当に乗り越えられないものなのか疑問が残る。キリストの大技に対する小技のような。小さく分割した「人知れぬ贈与」を贈ることはできないか(それは供犠であり続けられるだろうか)。トロイの木馬のような、偽装された贈与はどうだろう。

仮にそれが成立して、アポリアを乗り越えた贈与とはモラル的なのか?

議論について応用は色々と効きそう(もちろんアイマス同人誌のネタですが……)

次は「ソロヴィヨフ 生の変容を求めて」(谷寿美)を読みます。